無性愛者の恋愛が誤解されるとき

無性愛者とは、他者に恋愛感情や性的欲求を抱かない人のことです。

現代では、ハラスメントやジェンダーレスに対する考え方がどんどん変わってきています。まさに過渡期です。

相手を傷つけないよう配慮したり、自分が無神経な人間に思われないように言葉を選んでものを言う人が増えていると感じます。

ですが、そもそも「無性愛」という性質は世の中に知られていません。そして、知らないものに気を使うのは難しい話です。

個人的には今まで傷つくほどのことはありませんでしたが、少しひっかかったり面倒に思ったことはたくさんあります。

仕方ないんだけど

そこで無性愛者である私自身が、日々の生活で感じるちょっとしたことを紹介します。

同じ無性愛者の方には、無性愛あるあるだと共感してもらえたらうれしいです。

〇〇さんを好きだと誤解される

誰とも交際せず、恋愛に全く関心がない様子を見せていても、周りがすぐに「ああ、この人は一生そうなんだな」と思ってくれることはまずないです。

ですが、家族や仲の良い友人ならともかく、特別親しいわけではない職場や学校の人たちに「無性愛とは…」なんて説明はちょっとできません。

無理無理

周りから見ると、「現在恋人がおらず、どうやら長い期間フリーで、今も誰とも付き合う気がないらしい人」です。

そしてこれがどういうわけか、ほんの少し気安く話す程度の異性と、いい感じだの惚れてるだのという誤解をされることがあります。

何故だ

個人的には学生時代より社会に出てからの方が多いです。

仕事上会話をする機会が多い相手ならば、自然とだんだん打ち解けていきます。かと言ってそれは職場だけの、言い換えれば上辺だけの付き合いで、もちろんプライベートで会うことなどありません。

というか、恋愛できないからといって、異性との距離感を間違ったりはしません。きちんと気を使います。

それは分かってる

しかし、自分だけじゃなく相手にもその気がなくても、例えドン引きしながら否定しても、なかなか誤解が解けなかったりします。

もっと最悪なのが相手もその誤解をする場合です。なんだったら周りの人間からの「絶対そうだよ」という後押しで自信まで持ちます。

セクハラだという認識があるからか直接言ってくる人は少なくても、噂は耳に入ってくるものです。

マジで何故

この地獄みたいな状況は、無性愛者でなくても独身者だったら味わっている人も多いと思います。

心底うんざりする気持ちは全く同じで、無性愛ならではということはありません。

ただ、無性愛者の場合、他に恋人ができたり結婚したりして誤解が解けるということが一生ありません。

これが個人的には結構厄介なところだと思います。

ずっとフリー

大抵は時間が経てばそのうちそんな根も葉もないことは言われなくなります。気がある素振りなど全く見せていないし。

しかし「否定するわりに誰とも付き合わないのは、やっぱりそうなんじゃないか」と言う人もたまにいます。

そう来られるともうどうしようもないです。「じゃあ何で交際しないのか」と聞かれても、恋愛できないんだよていうかあなたに納得してもらう必要あるのか、と思いながら「誰とも付き合う気ないので」と返します。

こういう人はもう決めてかかってくるので、最終的にはどうでもいいや…という諦めの境地に至ります。

もういいわ…

こういった状況になるとよく思うのが、そんな簡単に人を好きになるものなのか？という疑問です。

何度も言いますが、本当にただの同僚です。仕事上会話の機会は多くても、周りに勘違いされるような言動は一切していません。

にも関わらずそんな誤解をされると、その程度の関係性でしかも職場の人間を好きになるなんてことが、恋愛できる人にとってはよくある出来事なのだろうかと、とても疑問に思います。

無性愛者の私からすると、恋愛感情というのはもっと特別で、イレギュラーなことという感覚があります。持ち合わせがないので勝手な想像ですが。

だからどうしても「そもそもそんな簡単に好きになるのか？ならないでしょう多分」と思ってしまいます。故に、あなた自身もそうだろうに、何故他人に対してそんな誤解をするのかと、少しイラっとしてしまいます。

何でなんだ

ですがその度に、世の中の大半である「恋愛できる人」が、全て一括りで語れるわけがないと言い聞かせます。人を好きになるハードルが高い人もいれば低い人もいるだろうし、恋愛感情だって人それぞれなんだろうと。

これも多様性

社会人になってもそこそこの年齢になってもこんなことが起こるのだから、恋愛ってやつは本当にすごいなぁとしみじみ思います。

今回の誤解をしていた人たちも、年齢性別バラバラでしたからね。

関係なし

ですが、他者を不快にさせるような思い込みをぺらぺら話すのはやめてほしいと、切実に思います。